キャッシュレス化(現金の電子化)によるメリットとデメリットをまとめてみました。
キャッシュレス化のメリット
現金の製造コストを減らせる(税金の節約)
キャッシュレス化が進むことで現金の使用量が減ります。
現金の使用量が減らせるということは、流通させる量も少なくて済むということです。
お金の製造コストは1~500円玉までの貨幣(コイン)が原価だけでも
- 500円玉:約30円
- 100円玉:約25円
- 50円玉:約20円
- 10円玉:約10円
- 5円玉:約7円
- 1円玉:約3円
千円札以上の紙幣の原価が
- 1万円札:約22.2円
- 5千円札:約20.7円
- 2千円札:約16.2円
- 千円札:約14.5円
となっています。
原価だけでもこれだけのコストがかかるということは、製造にはそれ以上のコストがかかるということです。
国は毎年世の中に流通している現金の一部を回収・製造しているので、現金の流通量を減らせればそれだけ製造する量が減らせます。
財務省が公表している「貨幣の製造に係る事業の概要」によると、平成28年の時点で貨幣(コイン)の製造だけでも年間に100億円の予算が割かれています。
いずれも「貨幣の製造に係る事業の概要」から
完全キャッシュレス化後に記念硬貨の発行など一部の現金製造業務が残されると仮定しても、キャッシュレス化すれば貨幣だけでも年間に100億円くらいの税金をコストカットできます。
貨幣の製造枚数は年々少なくなっていますが、これをゼロにできればかなりの税金を節約できるでしょう。
キャッシュレス化すれば防犯になる
キャッシュレス化すれば犯罪防止につながります。
刑法犯罪の7割は窃盗だといわれていますが、スリなどで財布を盗んだとしても、中に現金が入っていなければ窃盗犯はお金を手に入れることができません。
クレジットカードやICカードを利用することはできますが、カード類は利用履歴が残るので
- いつ
- どこで
カードが利用されたか、警察が捜査すればすぐにわかります。
大抵の場合、カード類を使用する場所(お店のレジ付近や鉄道の改札口)には防犯カメラが設置されているので、少なくとも犯人の顔や身体的な特徴がすぐにバレてしまいます。犯罪歴のある人であればすぐに御用となりますし、犯歴がない人でも顔が割れるのが恐くてカード類は使用できないでしょう。
また、クレジットカードは電話1本で利用を停止することができますし、停止までの間に利用されてしまった場合、警察に被害届などを出しておけば犯罪に利用されたことが証明できるのでカード会社の方で補償してくれたりします。
そのほか、一時期自動販売機荒らしやコインパーキング荒らし、ガソリンスタンドの無人販売所荒らしがニュースになったことがありますが、これらは全て「現金を盗むため」に行われたものです。
キャッシュレス化して現金をなくしてしまえば、こういった犯罪が減らせます。
いずれにせよ、キャッシュレス化することで現金を狙った犯罪が予防できます。
現金の保管コスト・保安コストを減らせる
キャッシュレス化すれば、現金を保管するときのコストが減らせます。
大量の現金を保管するお店などの場合、自前の耐火金庫に保管している場合が多いですが、現金が無くなれば金庫を購入する必要はありません。
また、飲食店などのお店では、その日の売上を近所の銀行やコンビニのATMに入金して保管している場合があります。
当然、売上を持ち運ぶ間も盗まれたり落としたりしないように気を付けなければならず、売り上げの運搬のためにわざわざ警備会社と契約しているところもあります。
キャッシュレス化すればこういった現金の保管コストや保安コストを減らすことができるので、事業所にとっては経費削減につながります。
現金決済のミスと時間・労力を減らせる
現金を扱うお店では、「売上とレジの中のに残った現金の金額が合わない」といった現象がときどき起こります。
これは釣銭を渡すときのミスが原因だったりするのですが、キャッシュレス化すればこういったミスは発生しません。
また、お金のやり取りがなくなるので、レジでの待ち時間や店員側の労力も減らせます。
経理業務の効率化
- 使ったお金(出費)
- 受け取ったお金(収入)
の計算は、家庭でも事業所でもやっていると思います。
その際、キャッシュレス化していれば、いちいち手元の現金を数えて家計簿に記入したり会計ソフトに入力したりせずに済みます。あらかじめ設定しておけば、クレジットカードの利用明細や銀行口座の明細から、出費・収入を自動で計算してもらえるからです。
経理にかける時間と労力を減らせるのがキャッシュレス化のメリットです。
偽札、偽造貨幣による損失を減らせる
僕が中学生くらいの頃、自動販売機で飲み物を買った時に穴の開いた外国の貨幣が釣銭として出てきたことがありました。
キャッシュレス化すれば偽造した現金による犯罪や損失が減らせます。
ブラックマネーを減らせる
海外の麻薬カルテルを追ったドキュメンタリーや映画、スパイ映画などを見ていると、後ろめたいときに使うお金は必ず現金を使っていますし、犯罪によって得られた収益は必ず現金で保管していることがわかります。
これは映画やドキュメンタリー番組に限った話ではなく、現実でも同じです。
現金は
- 誰から受け取ったお金なのか?
- 何に使われたお金なのか?
といった経路を追跡調査することができません。これは犯罪者にとっては好都合です。
キャッシュレス化すればお金がたどった経路は電子データに記録されるため、お金の流れを調べることができます。
その結果、犯罪者の資金源を断つなどの対策ができたり、犯罪を減らすことにもつながります。
このように、ブラックマネーを減らしたり犯罪を減らしたりできます。
キャッシュレス化のデメリット
キャッシュレス化にはメリットが多いですが、デメリットもあります。
たとえば、「停電・電池切れすると使えない」というデメリットです。
クレジットカードの読み取り機は電気で動きます。もしも停電したら読み取り機が使えないので、現金しか使えないことになります。スマートフォンとQRコードでキャッシュレス決済する場合には、スマホが電池切れになったらお金を支払うことができません。
しかしこういった大規模停電になることは滅多にありませんし、そもそも停電したら買い物をしている場合ではありません。発生する確率の低いことを心配しすぎるよりも、メリットに目を向けるべきだと思います。
また金融機関に預けていた貯金が、外国のハッカーによって盗まれる可能性もあります。
現金の場合は銀行を襲撃するなど、お金が置いてあるところに行かなければ盗めませんでした。
ところがキャッシュレス化することで、直接その場にいなくても電子的な方法でお金を盗めるようになったわけです。
このように、キャッシュレス化(現金の電子化)に伴うデメリットも少なからず存在します。
キャッシュレス化する準備は整っている
長くなったのでまとめます。
キャッシュレス化することで、
- 現金の製造コストを減らせる
- 偽札、偽造貨幣による損失やブラックマネーを減らせる
- 犯罪資金を減らしたり街中での犯罪防止にもつながる
- 保管コスト・保安コストを減らせる
- 現金決済のミスと時間・労力を減らせる
- 経理を効率化できる
というメリットがあります。
その一方で、
- 停電・電池切れすると使えない
- ハッキングで盗まれる可能性がある
など、現金の電子化に伴うデメリットがあります。
個人的には、キャッシュレス化した方がデメリットよりもメリットの方が圧倒的に多いと思うので、どんどんキャッシュレス化して欲しいと願っています。
僕は今年に入ってから、日光東照宮に行ったときと中国の桂林に旅行した時しか現金を使っていません。それ以外はネット上での電子的な決済か、クレジットカード決済で済ませています。
現金を使う場面はどんどん少なくなっていますし、世の中の流れもキャッシュレス化に進んでいます。
現金を使用してもデメリットが多いし犯罪者を助けるだけですので、キャッシュレス化できるところは積極的にキャッシュレス化していきたいです。
クレジットカードや交通系ICカードの利用など、個人レベルではいますぐキャッシュレス化できますが、最近ではお店側も簡単・低コストにキャッシュレス化できます。
すでにキャッシュレス化の準備は整っているので、あとは「やるか、やらないか」だけです。
現金は「へそくり」やブラックマネーに使えるので重宝している方もいると思いますが、裏金集めは諦めてキャッシュレス化しましょう!
コメント