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【無料で読み放題】電子図書館の仕組みと問題点・メリットをどこよりも詳しく解説。本を借りる手順と未来の図書館の姿とは?

電子図書館


本が無料で読み放題になったらいいのになあ…

こんな妄想を叶えてくれる「電子図書館」が神戸市に誕生したというニュースがありました。

「KOBE電子図書館 by Rakuten OverDrive」試行実施

 

市民であれば

  • パソコンやスマホを使って
  • 24時間、好きな時に好きな本が
  • 無料で読める

というものです。

 

電子図書館はまだそれほど普及していませんが、これから数年後、十数年後にはスタンダードな施設になります。

この記事では、近い将来に一般化されるであろう電子図書館について他のどのサイトよりも詳しく解説しています。

 

具体的には、

  • 電子図書館のしくみと本を借りる流れ
  • 電子図書館の問題点と課題
  • メリットや未来の図書館のこと

について解説しています。

十数年後の未来のことを誰よりも早く知っておきたいという方は、まずはご一読を!

電子図書館で本を借りる流れ

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電子図書館で本を借りる仕組みはこうです。

  1. 電子図書館のサイト用にID とパスワードを発行する
  2. サイトにログインして目的の本(電子データ)を借りる
  3. パソコンやスマートフォンで本を読む
  4. 貸出し期間(約2週間)が過ぎると、本のデータが読めなくなる(返却)

 

貸出せる本の数は電子書籍のタイトルごとに決まっており、「1つの本につき、同時貸出しは3冊まで」のように、貸出し冊数が決まっています。

Amazonのキンドルや楽天koboのような販売されている電子書籍だと、人気書籍が一度に何十人とか何百人でも同時にダウンロードすることができますが、電子図書館で同じ本を同時に借りられる人数には制限がかかっています。

 

なぜ貸出し期限と貸し出せる冊数に制限があるのか?

電子書籍はコピーが簡単な電子データなので、その気になれば無限に作りだしたり貸し出したりできます。

しかし電子図書館では紙の本と同じで貸出し期限や貸し出せる冊数に制限があります。

 

これは、電子図書館が紙の本のように本そのものを保有しているわけではなく、本のデータを貸し出す権利(ライセンス)を一時的に購入しているからです。

紙の本を買うと永続的な所有で、電子書籍だと一時的な所有になります。

 

電子図書館は出版社などから電子書籍を貸し出す権利を購入し、契約の範囲内で市民に貸し出しているわけです。

(正確には「出版社から電子書籍を貸し出す権利を買っている仲介業者が間に入り、電子図書館はその仲介業者から権利を買っています。いずれにせよ最終的には出版社にお金が流れるようになっています。)

 

Jepaセミナー資料 jdls 20150318 

 

本を貸し出す権利については、

  • 定額プラン:2年間、または52回(2週間の貸出しで約2年分)まで
  • 都度課金:利用者に貸し出す度に図書館が出版社などに料金を支払う

の2パターン用意されています。

電子図書館では決められた予算内でこのような利用料金を支払う契約をして、市民に電子書籍を貸し出してるんですね。

 

同時貸出しの人数も同様に契約で決まっており、「同じ本は一度に1冊まで」とか「5冊まで同時貸出し可能」などが決まっています。

同時貸出しの冊数に制限がなかったら際限なく本が借りられてしまい、本来売れるはずだった書籍が売れなくなってしまったりコピーコンテンツが出回ったりする危険性が高まりますからね。

 

紙媒体であれば図書館が買った冊数だけしか貸し出せませんが、電子書籍だと無制限に貸し出せてしまいます。

本の権利を持っている出版社側としては出版不況で本が売れなくて困っているので、

  • なるべく高い値段で
  • 貸出し制限をかけて

電子書籍を貸し出したいという大人の事情もあります。

出版業界がオワコンなことを赤裸々に綴った佐藤秀峰著「漫画貧乏」 

 

電子図書館の問題点、課題

一見便利で時代に即した仕組みに見える電子図書館ですが、課題や問題点もあります。

たとえば

  1. 著作権
  2. 料金
  3. コンテンツが偏る
  4. 市民からのニーズがない
  5. 低コスト化できない

 です。

著作権

一番大きな問題は著作権です。

これは紙の本の時でも同じですが、出版直後の新刊が貸し出されてしまうと、本屋さんやAmazon等で本を買う人がいなくなり出版社の売上が落ちてしまう恐れがあります。

本の作者にきちんとお金が流れる仕組みを確保しなければなりません。

 

また、電子書籍は紙の本とは違って内容をコピーするのが簡単です。

コピーができないような仕組みを整える必要もあります。

 

利用料金

図書館の本は1冊の本を何人もの人が読むことができるので、出版社としては図書館に本を買ってほしくはありません。

それでも図書館に本が置かれているのは、図書館側が出版社に対し、通常の販売価格よりも高い値段で本を買っているからです。

たとえば1冊1000円の本なら、図書館が購入するときは2000円で買うなどしているようです。

 

図書館側が通常販売価格の何倍の値段で買っているのかは企業秘密なので明らかにされていませんが、紙の本の場合と電子書籍の場合とで、この倍率を同じにするのか?それとも高く(低く)設定するのか?

まだ電子図書館が普及していないため相場がありません。

今後は電子書籍の購入価格についても検討する必要があります。

 

コンテンツが偏る

電子図書館で借りられる電子書籍のジャンルは絵本や料理の本が多く、小説やビジネス書といった他のジャンルの本が少ないのが現状です。

 

本の電子化には意外と手間がかかるらしく、電子書籍を読むのに使うシステムが増える度に手間が増えるそうです。

実は面倒な電子書籍

 

たとえば楽天koboやAmazonキンドルで電子書籍が読めますが、それぞれ使うシステムが違うので、ちゃんと読めるのかチェックする必要があります。

楽天koboではちゃんと読めるのに、Amazonキンドルだと文字化けして読めなくなる場合があるからです。

 

電子書籍を出版する際はちゃんとそれぞれのシステムで正常に読めるのかバグチェックするのですが、電子図書館で貸し出す本でも同様のチェックが必要になります。

 

最初から最後まで目視でチェックするのは骨が折れる仕事なので、必然的に文字数が少なくて画像の多い「絵本」「料理本」が優先的に電子図書館に対応するようになり、貸し出される本のジャンルにも偏りが出てしまうわけです。

 

市民からのニーズがない

電子図書館ができたからといって、「やったー!これで便利になったー!電子書籍を借りまくるぞー!」という市民は、一体どれくらいいるでしょうか?

図書館利用者の大半は、電子書籍に興味のないアナログユーザーなのではないでしょうか?

 

電子書籍市場は年々増加し、それに反比例して紙媒体の本の売れ行きが落ちているようですが、それでも世の中全体で見れば、まだまだ電子書籍利用者の数はそれほど多くはありません。

つまり、電子図書館ができたとしても利用してくれる人の数がそれほど多くはないということです。

 

少数利用者のためだけに電子図書館を作っても、税金の使い方として有効ではないのではないか?という疑問が残ります。

 

低コスト化につながらない

一般企業などでは社内システムの電子化を推進することで経費削減につながり、会社全体で低コスト化することができます。

しかし電子図書館の場合、電子書籍を貸し出すためには紙の本と同じように利用料金を支払わなければならず、あまり経費削減にはつながりません。

また、図書館に置く本を選んだりメンテナンスしたりする職員や司書の人件費を削減する効果もほとんどないです。

 

これは図書館を運営する自治体側からすれば、電子図書館の導入をためらう口実になります。

 

電子図書館のメリット

電子図書館には課題や問題点もたくさんありますが、メリットもたくさんあります。

1、体の不自由な方でも本が借りやすい

本を借りるために図書館まで出向く必要がないので、体の不自由な方や外出するのが困難な方でも本を借りやすくなります。

離島など、図書館が無かった地域の方でも市街地と同じように行政サービスを受けられるのも利点です。

 

2、目が不自由な方でも本を借りられる

電子書籍のほとんどは、音声での読み上げソフトに対応しています。

目が不自由な方でも朗読してもらうことで本の情報を知ることができます。

また、電子書籍は文字のサイズを簡単に調節できるので、お年寄りなど視力が落ちている方にも優しいです。

 

3、地震や災害があっても利用できる

普通の図書館は、地震や災害があったときに書棚から本が落ちて散乱し、整理するために臨時休館しなければならない場合があります。

しかし電子図書館であれば災害時でも休みなく利用できるので、とても便利です。

 

4、新しい利用者が生まれる

図書館が電子化されることで、これまでは面倒くさくて図書館に足を運ばなかった方や、忙しくて図書館に通えなかった方でも本に親しむことができます。

これまでとは違った新たな利用者を生み出すことができます。

 

5、古い資料にも光が当てられる

図書資料が電子化されることで、資料の検索が簡単になります。

最近の新しい出版物だけでなく古い本も簡単に見れるようになるので、埋もれてしまった過去の古い資料に再び光を当てられるようになります。

 

6、省スペース化できる

図書の保管に場所を取らないので、図書館全体を省スペース化できます。

電子データなので経年劣化による「破れ」「汚れ」を心配しなくて済むし、いたずら書きなどの書き込みも心配しなくて大丈夫です。

 

最後に

Eugene Public Library Interior 1

電子図書館を運営している自治体はごく少数にとどまっており、まだ全然普及していません。

すでに運営中の電子図書館でも貸出しに対応しているタイトルの数が少なかったりジャンルが偏っていたりして不便な部分も多いですが、電子出版物の普及とともにこれから徐々に状況は改善していくでしょう。

 

便利なシステムがどんどん出てくるので、新しい技術を採用しつつ便利な生活に馴染んでいきたいですね。