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遺伝子検査のデータベースは犯罪捜査の切り札になるか?【未来の捜査手法】

 現場に残された犯人の皮膚片から、まだ見ぬ犯人を一瞬で特定する…。

未来の犯罪捜査の手法が変わるかもしれないことをご存知ですか?

悪いことをしても一瞬で誰がやったか判明するようになったら、防犯効果は高そうですよね?

 

この記事では、大学時代に遺伝子(DNA)について専門的に研究したことがある僕の立場から、将来的な犯罪捜査の手法とアメリで既に実施されている最先端の捜査手法についてご紹介します。

「遺伝子」や 「犯罪捜査」に興味があればご一読を!

遺伝子検査とは?

未来の捜査手法についてご紹介する前に、捜査の前提となる「遺伝子検査」についてご説明します。

 

そもそも遺伝子検査とはどのようなものかというと、皮膚などから採取した遺伝情報(DNA)を検査し、遺伝的な病気のリスクを診断したり親子関係を特定したりする検査のことです。

ガンなどの一部の病気には遺伝的な関連性が以前からわかっており、遺伝情報を調べることでどれくらい病気にかかりやすいかを調べることができます。

予め自分がかかりやすい病気がわかるので、予防医療に役立てられています。

 

遺伝子検査は日本でも2万円程度で調べることができ、唾液などのサンプルを送れば数日~数週間で結果を見ることができます。

遺伝子検査キット GeneLife Genesis2.0

 

遺伝子検査を行うと、検査を行った研究機関や専門企業にたくさんの人たちの遺伝情報が集まることになります。

アメリカではこれらの大量のデータベースを医療に役立てるだけでなく、犯罪捜査にも活用しているそうです。

 

DNAデータベースを元にした捜査手法

遺伝情報は生涯変わることがなく、また、指紋と同じように一人一人違っているので個人を特定することができ、「究極の個人情報」とも言われています。

犯罪現場に犯人の髪の毛や体液などの遺伝情報が残されていると、現場に犯人がいた「動かぬ証拠」になるため、捜査機関では遺伝情報を捜査に活用してます。

 

 

性犯罪などの一部の凶悪事件では、犯人の口の中に綿棒を入れて「頬の内側」の細胞を採取し、犯罪者の遺伝情報をデータベース化。

他の事件現場の遺留品から同じ犯人の遺伝情報がヒットしないか調べて、余罪を追及したりしています。

 

遺伝情報は皮膚片などのごくわずかなサンプルがあれば調べることができます。

僕は大学生のときに植物の遺伝子に関わる研究室に所属していたのですが、そのころ(約10年前)に聞いた話によると、警視庁など一部の捜査機関では窓ガラスなどに指紋が付着していた場合、指紋を採取すると同時に、窓ガラスに付着した微量な皮膚片を採取。

皮膚片から遺伝情報を調べ、犯人の特定につなげていたそうです。

 

遺伝子の検査は指紋を調べるよりもお金がかかるので全ての事件現場でやっているわけではいでしょうが、10年前でもこのレベルなので、今はもっと進歩しているかもしれません。

 

迷宮入り事件を解決

捜査機関や民間の遺伝子検査キットによって大量の遺伝子データベースが集まると、遺伝子検査をしたことがない人の遺伝子も特定できるようになってきます

遺伝子は血液型と同じで、必ず両親の特徴を受け継ぐからです。

 

たとえばある家に住んでいる夫婦が遺伝子検査を受け、2人の遺伝情報が研究機関のデータベースに登録されたとします。

この夫婦に血のつながった子どもがいた場合、データベースの情報を元にして、子どもの遺伝情報がある程度推測できるということです。

 

これにより、仮にこの夫婦の子どもがある事件の犯人だった場合、一度も遺伝子検査を受けたことがなく、かつ、捜査機関に捕まって遺伝情報を採取されたことがなかったとしても、犯行現場に残されていた遺伝情報から「この夫婦の子どもが犯人だ」と特定することが可能になります。

 

アメリカでは、大量の遺伝情報をデータベース化している研究機関と捜査機関が提携していて、未解決事件(コールド・ケース)の解決例がいくつもあるそうです。

 

聞き込みをするよりも効果的 

十分な遺伝情報のデータベースが構築されれば、聞き込みをするよりも効果的に捜査を進めることができるようになります。

 

たとえ、ある事件の犯行現場から遺伝子データベースにデータの無い「犯人X」の遺伝情報が採取されたとしても、犯人の血縁者が遺伝子検査を受けたことがありデータベースに遺伝情報が登録されていれば、まだ見ぬ犯人を特定できるからです。

 

犯罪捜査ではよく、目撃者に対する聞き込みが行われています。

しかし、目撃情報や聞き込みで得られた情報は曖昧でハッキリしないものが多く、人間の記憶を元にした不完全な情報なので決定的な証拠にはなりえません。

 

その点、遺伝情報なら初めから犯人を特定できているようなものなので、証拠集めが簡単になります。

「犯人はアイツだ!」という先入観を持った捜査は好ましくありませんが、何人もの捜査員を動員して聞き込みをして回るよりも、効果的な捜査手法であることは間違いありません。

 

遺伝情報と犯罪捜査の未来

遺伝情報は病気のリスクや体質などもわかってしまう「究極の個人情報」なので取り扱いに注意が必要ですが、日本でも今よりももっと積極的に犯罪捜査に活用される日は近い気がします。

 

いまはまだ犯罪現場の遺留品から遺伝情報を調べる体制が整っておらず、また、法的な整備や国民の同意も取られていませんが、将来的には有力な捜査手法になるのではないかと感じています。