とある大学の裏口入学がニュースになっていますが、今回は裏口入学と同じく怪しい匂いがプンプンする「コネ」による就職(縁故採用)に関してです。
「コネ入社させてほしい」と知り合いから依頼を受けた場合や自分自身がコネで就職したいと思った時、あるいは、コネ入社のチャンスを手に入れた際の参考にしてください。
コネ入社のメリット
採用活動の費用を抑えることができる
まずは企業(採用)側のメリットから。
自分の会社に入社したいという希望者を集めるためには、一般的には広告を出したり説明会を開いたり、高校や大学などに赴いて優秀な人をスカウトしたりしなければなりません。また、希望してくれる人がいた場合にも、業務内容によっては本人の信用調査などをする場合もあります。
縁故採用なら、これらの採用活動に伴う費用や労力、選考に関する時間を削減できます。
元社員や役員からの「この人を採用してほしい」という依頼があった場合、その役員なり元社員なりの信用があるため、新たに採用希望者の信用を調査する必要がないし募集広告を出す必要もないからです。
よほどのことがない限りは、紹介されたらコネでも採用してあげた方がいいんじゃないか?と思うのが企業側の本音のはずです。
問題は、”よほどのこと”がわりと頻繁にあるらしいということなんだけど…。
就活に費やす時間、費用、労力を削減できる
コネ採用される側(縁故者)にとってもメリットがあります。
一般企業に就職しようとする場合、十数社の採用試験を受けるのが普通だと思います。
しかし採用してもらえるかわからない企業を何社も回って面接を受けたり試験を受けたりするのは、かなり大変です。
コネ入社ならこういった就活に伴う活動を省略でき、最初から「この会社に入社が決まったから」と言ってもらえるので、就活の為に無駄な労力と時間を浪費しなくて済みます。
コネ入社のデメリット
縁故採用は「ババ抜き」
縁故者を採用する企業側のデメリットを探したら、ヤフー知恵袋で人事担当者の回答を見つけました。
人事担当者です。デメリットしかありません。以下、現実を書きますので、よく考えて。
- 採用を担当している以上、公平な条件で選考したいと思うのは誰しも。そこへ、各方面から有形無形の圧力がかかる訳だから、単純に気分が悪い。面白くない。
- 現実にはほとんど合格させないから、丁重にお断りをするという余分な作業が発生し、本当に面倒くさい。なぜほとんど合格させないかというと、現にレベルが低いのと、(皆が思う以上に)コネ希望の人数が多いから
- 一応、「鋭意検討させていただいたのですが、残念ながら...」というポーズを作る必要があるので、落とすことが決まっていても、わざと二次・三次、と面接に呼んだりもする。お互い、時間の無駄。
- もし採用せざるを得ない場合、配属先の職場を拝み倒して引き取ってもらう。
どの職場も、数少ない採用枠を、そんな奴で埋められたくないから、ババ抜きのババになる。
ボロクソに言われてますね(笑)
縁故採用は採用コストをカットできるというメリットがあるものの、デメリットの方が多そうですね。とくに採用面接を担当したり入社希望者の選考を担当したりする人たちにとっては、迷惑以外のなにものでもないようです。
縁故採用を持ち掛けてきた人が権力のある人だったりすると、ボンクラを採用してしまった場合でも簡単にクビにできないというデメリットもあります。
言動が筒抜け、実績が評価されない、妬まれる、辞められない
採用される側(コネを利用する側)にとってもデメリットがあります。社内での自分の行動や実績がコネ入社に関わった人たちに逐一報告されてしまうことです。
たとえば自分の父親が役員でその会社に縁故入社した場合、社内での自分の言動が全て父親に筒抜けになったりします。良い噂だけでなく悪い噂まで筒抜けになってしまうことをプレッシャーに感じる人もいるのではないでしょうか。
また、頑張って実績を上げて昇進したり役職に就けたりした場合でも「どうせコネで昇進したんだろ」と同僚や周りの人たちは感じます。
自分の実績を認めてもらえない、実力を評価してもらえないという寂しさを抱えることになります。
本人にその気がなくても、同僚や他の役員たちからは嫉妬されたり恨まれたりするリスクもあります。
無神経で周りの人の視線が全く気にならず、昇進したりした場合でも「自分の実力」と素直に喜べるほど図太い神経を持った人でない限りは、縁故採用された後も苦難の道が続くでしょう。
そんな会社に嫌気が差した場合でも、コネ入社した以上、好きな時にやめるわけにもいきません。紹介してくれた人の顔に泥を塗ることになりますからね。
例え昇進したり実績を上げたりしても実力と認めてもらえず、辞めたくなっても自分の意志で辞めることができない…そんなコネ入社ライフが続きます。
まとめ:コネ入社にメリットは無い
採用する側・採用される側、どちらにとってもコネ入社はリスクが大きいように感じます。なんといっても採用コストを抑えられること以外には、メリットがないですからね。
唯一コネ入社でも問題なくやっていけそうなのが、個人経営の会社でしょうか。
家族で経営している個人商店とか、あまり規模が大きくなくて社員がほとんどいない場合に限っては、縁故採用ほど効率の良い採用システムはないと思います。
基本的には「入社希望者がたくさんいる会社」「入社しにくい会社」ほど縁故採用のデメリットは大きく、誰も入社したがらない会社ほど縁故採用はメリットが大きくなります。
需要と供給の関係と言ってしまえばそれまでですが、コネを使っても得する人は少ないです。『コネに加担するとロクなことにならない」 と覚えておきましょう。
会社の理不尽さにムカついたらこちらの記事もお読みください。少しは気分が晴れると思います。
なぜ会社には無能ばかりいるのか?「この会社には無能しかいない!」と感じる理由と解決策(ピーターの法則より)
自分の体験から
僕も一応サラリーマン経験があるので、縁故採用や「コネ」の事例をいくつか見てきました。
そして縁故採用された、いわゆる『二世(親と同じ会社で働いている子ども)』のことが僕は好きではありませんでした。
僕の妬み僻みもありますが二世に優秀な人はいませんでしたし、そのくせになぜか優遇されているように見えたからです。
僕の職場は勤務シフトに規則性がなく、「今週は月・水が休みで来週は火・水・金曜日が休み」みたいなことがよくありました。しかもシフトはいつも週の初めに発表されます。
これだと何か予定を立てたくても簡単には立てられないですよね。とくに、誰かと一緒に出掛けるような予定なら尚更です。
そんな会社でしたが、父親が同じ会社で働いているという とある二世は父親にお願いすることで、あらかじめ自分の休みの日を教えてもらっていたそうです。
これ、二世が自分で上司に相談して、「この日は休みたいんですけど…」と休みの予定を決めたり頼んだりするんだったら、別になんとも思わないんです。
ですが、
「パパに頼んで休みにしてもらった」
「ほかの社員とは違って、あらかじめ休みの日程を教えてもらっていた」
というのが気にくわず、そしてそのことが当然の権利だと思っている二世の姿を見て、その二世のこと、さらには縁故採用されている他の二世のことも嫌いになりました。
本人に悪気はなかったのかもしれません。そもそも息子のお願いをホイホイ聞いてしまう父親の方もどうかと思います。
また、他の社員とは公平でないことを知りつつも二世を優遇した上司もどうかと思ったのですが、こんなわけで、僕は二世に激しく嫉妬しました。ムキー!!!僕も優遇してほしい!好きな時に休みたかったよー!
コネだろうとコネでなかろうと関係なく、縁故者は採用しない方が社内の雰囲気を悪くしなくて済むし平和でしょう。社員のモチベーションも維持しやすいです。
もしも僕が大企業の経営者になったら、縁故者は絶対に採用しないように気を付けようと思います。ま、そんなことはアリエナイんだけど。
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