狂犬病の予防接種は必要?不要?60年以上発生例がない中で継続する意義とは?

僕は犬や猫を飼ったことがなく、生き物といえば小学生の頃に小さな水槽で飼っていたオタマジャクシやカブトムシぐらいです。そのため哺乳類を飼っている方たちの事情をよく知らないのですが、犬って毎年狂犬病の予防接種を受けなければならないんですね。つい最近知りました。

狂犬病の予防接種は過剰では?

狂犬病は哺乳類の唾液を媒介して感染するウイルスで、感染した動物に噛まれることで感染が広がります。1~3カ月程度の潜伏期間を経て発症し、発症後は治療法がないため脳炎などになり死に至るそうです。

狂犬病は日本では戦後の混乱期に流行したそうですが、飼い犬の登録と予防接種、野犬の排除などを進めたことにより1957年を最後に国内では根絶されました。それから60年以上が経過し、果たして今の予防体制は適切と言えるのか?過剰ではないのか?といった意見が出てきているそうです。

たしかに60年以上も発生例がないのであれば、毎年毎年予防接種を受けさせ続けるのは過剰とも言えます。

いちおう日本以外ではオーストラリア、ニュージーランド、ハワイなどで狂犬病が根絶されていますが、これらの国では接種義務はないそうです。またイギリス、フランスも「ほとんど発生がない国」ですが、両国とも狂犬病の予防接種が義務化されていません。狂犬病の発生がないにもかかわらず、いまだに毎年予防接種を行っているのは日本だけです。変わらない国、ニッポン!

狂犬病の予防接種は費用対効果が薄いのでは?

予防接種を行うのは、免疫力を高めて病気に感染した際の症状を抑えたり、感染した場合でも他の個体(動物)へ拡大するのを抑えるためです。病気の症状や感染のリスクを抑えるという意味では、あらゆる感染症の予防接種を受けるのが理想です。

しかし現実的には全ての感染症の予防接種を受けている時間的な余裕はありませんし、金銭的な余裕もありません。注射を打つ医療従事者の数も限られていますし、誰がいつ、なんの予防接種を受けたのか完全に把握する方法もありません。そういった事情から感染力や感染後の重症度に優先順位を付け、「費用対効果」を考えて接種することになるのが現実的です。

狂犬病は人に感染した場合の症状は重くなりますが国内では60年以上も発生例がなく、予防接種の優先順位としては低いのではないでしょうか。海外の事例を見ると狂犬病の発生がない地域では犬への予防接種が義務化されていませんし、日本でもそろそろ義務化の対象から外しても良さそうな気がします。

もちろん風疹のように過去に流行した感染症が一度鎮圧され、その後再び流行することはありえます。ヨーロッパで大流行したスペイン風邪の病原菌(A型インフルエンザH1N1亜型)が、100年近く経過してから別の地域で流行することもあります。

このような事例が無いわけではないのですが、先ほども書いたように全ての感染症を予防しようとするのは現実的ではなく、費用対効果を考えながらどこかで妥協する必要があります。日本での狂犬病の予防接種は「妥協しても良い感染症」ではないのかな…と感じました。

獣医は予防接種で儲けている

なんで狂犬病の予防接種がなくならないのか?というと、おそらく獣医師会的な団体が反対しているのではないかと。既得権益の保護ですね。

獣医師側には「予防接種をすることで動物の病気を予防することができる。動物の医療設備はもの凄く高価だけど診察料に反映すると患者が困るから診察料は安いままにしている。だから予防接種で儲けて何が悪い!」という意見みたいですが、狂犬病の予防接種に関しては関係ない気がします。

関連:【雑記】獣医は予防で儲けている(つくばみのぷう動物病院)

狂犬病を発症したら治療する手段がないので医療設備は関係ないですし、そもそも動物に予防接種するのは動物の感染を防ぐためではなく「動物から人間へ感染するのを防ぐため」です。狂犬病の場合は人間用のワクチンをヒトに予防接種するよりも犬などの病原菌を媒介する動物に予防接種した方が安上がりで済みます。

  • 人間用:一度に3回接種して15,000円。効果は2年程度
  • 動物用:1回の接種で3,000円。日本では毎年行っているが海外では3年ごとの国があるので3年は効果が持続すると考えられる

もともとは人間を守るために犬に予防接種しているものですので、長年狂犬病の発生例がないのであれば日本での狂犬病の予防接種は義務の対象から外しても構わないはずです。獣医師の生活的には苦しくなりますが、獣医師の数が減れば1人当たりの取り分は多くなります。既得権益を保護するために狂犬病の予防接種を維持しようとするのはやめた方が良いと感じました。

実施率が低いので意味がない

ついでなのでもう少し書いておきますと、国際獣疫事務局によれば狂犬病を防ぐためには感染地域の予防接種率が7割以上の状態を維持しなければならないそうです。

現在の日本の狂犬病ワクチンの予防接種率は5割程度らしいので、感染を防ぐという本来の目的を達成するつもりなのであれば全く意味がないです。やってる人たちの自己満足。

 

接種率5割のの根拠として、いちおう厚生労働省のデータによれば予防接種率は70%以上を維持しているみたいですが、東京都だけのデータを見ると昭和60年や平成7年の接種率(全国)が100%を越えていることからも分かるようにあまり正確ではないようです。加えてペットショップなどへの調査による「実質的な犬の数」と「市町村に登録されている犬の頭数」にはかなりの開きがあるそうなので、「実質的な接種率は5割程度だろう」と見積もっています。

 

ということで獣医師たちの生活を維持するために”寄付している”というのであれば構いませんが、狂犬病の予防接種をしても実質的には全く意味がありません。飼い主さん的には予防接種しておいた方が安心感があると思いますし、犬に触れる機会がある方にとっても安心感はあると思います。しかし実際は気休めでしかなく、狂犬病の予防接種のために1頭当たり毎年3,000円を寄付しているだけですのでその点は理解しておきましょう。