先日、僕にしては珍しく朝の情報番組を見ました。内容は民間企業が提供している気象情報(天気予報)についてだったのですが、終始感心しっぱなしでした。
最新鋭のテクノロジーを駆使して気象データを収集・分析することで、従来とは比べ物にならないくらい高精度の予測ができるようになっていることを知り、その技術の進歩には感動すら覚えるほどです。
気象データの収集能力が劇的に向上
SNS(主にツイッター)の投稿から気象データを収集
気象衛星がとらえた雲の様子や全国の観測機器から送られてくる気温・湿度・降水量といった従来型のデータの他、民間企業ではツイッターのつぶやきからも気象情報を集め、天気予報に活用しているそうです。
AI(人工知能)を活用して「今日は暑い💦」「寒くなってきた⛄」「雷なう」「雨で靴が濡れてサイアク!」といった気象に関するツイートを収集。そこからさらにツイッターユーザーの現在地といった情報を照らし合わせることで、特定地点におけるリアルタイムの気象データを以前よりも正確に把握できるようになったそうです。
ツイッターの膨大なつぶやきのデータは投資機関の自動売買プログラムで利用されていたことは知っていましたが、気象予報にも活用されていることを知り時代の流れを感じます。
ツイッターのデータでは気温や湿度といったデータ的な情報だけではなく、いまどのように感じているかを表す「体感温度」も利用しているそうです。
たとえば同じ気温でも、前日の気温と比較することにより体感的な温度は違ってきます。前日の気温が25℃で今日の気温が20℃だった場合、多くの人は「寒い」と感じ、前日の気温が15℃で今日の気温が20℃だった場合は、同じ20℃にも関わらず「暖かい」と感じます。これが体感気温です。
気象データの収集プログラムではこういった人間だけが持つ体感気温も考慮した上で正確な気温を割り出したり、気象予測に活用したりしているそうです。
全国の会員から雲の写真を送ってもらい、ゲリラ豪雨の予測に利用
会員制で気象データを提供している企業では、会員から送られてくる雲の画像も天気の予測に役立てているそうです。
「もしよかったら暇な時間にでも雲の画像を送ってもらえませんか?」と全国にいる会員達にお願いして、リアルタイムの雲の画像を本部に送信してもらいます。雲は気象情報の宝庫のようなものですから、会員の現在地と雲の位置から現地の気象状況をかなり正確に予測できることになります。
会員に協力してもらうことにより、以前では予測が難しかったゲリラ豪雨のような突発的、かつ局地的な気象の変化にも15分単位で予測できるようになりました。これにより「雨が降り出すギリギリ直前まで洗濯物を干せるようになった」「雨が降らない時間に外出できるよう、予定を立てやすくなった」といった効果が生まれたそうです。
自動車のワイパーの稼働状況を天気予報に活用
気象データ提供会社の大手・ウェザーニュースは、トヨタ自動車と提携して「自動車のワイパーの使用状況から天気を予測する」実証実験を始めています。
最新の自動車は常時インターネットに接続されており、車両に異常がないかを監視したり渋滞などの道路状況を他の車に知らせたりするシステムが組み込まれています。この機能を応用することで、ワイパーの使用状況から雨が降っていることをリアルタイムで情報提供し、気象予測に役立てようとしているわけですね。
実は従来の観測機器ではパラパラ程度の小雨を計測するのが困難で、そのことが天気を予測する際の障害となっていました。
ワイパーの使用状況を知ることができれば、いまどこで、どの程度の強さの雨が降っているのかがすぐにわかるので、より正確な気象予測ができるようになります。天気予報を見ているユーザーからしてもありがたいです。
気象データの利用先
最新テクノロジーを駆使したり会員からの情報提供により得られた気象データは、企業の専門装置によって分析され、その情報を欲しがっている企業に提供されます。
たとえばどのような企業が気象データを欲しがるかと言うと、食品を販売しているスーパーマーケットや食品製造会社などが気象データを販売戦略に役立てています。
すでに食品スーパーでは
- 天気が暑いとバーベキューに使う「焼肉用の厚切り肉」の需要が増加する、寒いときは「鍋用の薄切り肉」の需要が増える
といったデータを持っているため、予測された1週間後、1カ月後の気温から、仕入れる肉の量や肉の切り方を変えているそうです。
また、チョコモナカジャンボの製造企業では、「最中生地のパリパリの食感」を維持するために気象データを活用しています。
最中生地は製造から時間が経つとパリパリ度が下がってしまうため、できるだけ作りたてのチョコモナカジャンボを購入してもらう必要があります。
気温が高くなるとチョコモナカジャンボの需要は増え気温が低くなると需要は減るため、暑くなる直前にたくさん製造し、気温が下がりそうなときや雨が多くなりそうなタイミングが近づいたら生産量を減らす…というのが理想的です。
正確な気象データが手に入れば一番おいしい状態のチョコモナカジャンボをタイミング良く提供できるようになるため、購入者の満足度を維持しながら売上も最大化することができます。
気象データの活用先はこれから増え続ける
気象データは正確であればあるほど利用価値が高まりますし、人々の生活も満足度の高いものになります。
僕たちの知らないところで日々研究が重ねられ、気象データの活用先も増えました。天気予報は食品生産や農業だけではなく保険や投資の分野でも利用価値がありますので、これからも気象データを収集したり正確な予報をしてくれたりする会社には頑張ってもらいたいですね!
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